老若男女問わず使います。軽い症状から、かなり重い病気まで使います。
ただ、ここでは若い方にこそ漢方や養生について知っていただきたいと思います。
以前に比べて変わってきたとは思いますが、「漢方はお年寄りが使うもの」というイメージがまだまだあるようです。漢方=仙人のたしなみ、という印象すらあるように感じます。
ただ、この「仙人」は年老いてから漢方や養生を始めたのでしょうか?それはおそらく違うと思います。
黄帝内経素問という中国最古の医学書にはこんな記述があります(意訳)。
「昔の人は皆、100歳を超えて生き、しかも動作が衰えなかった。今時の人は半分(50歳?)で動作が衰えてしまうが、これはどういうことか?」
上古の人(100歳を超えて元気に生きる人)は以下のように生活していたそうです。
- 自然界の法則に則る。
- 節度のある食事を摂る。
- 労働と休息をバランスよく行う。
- 体外からの病気を回避する。
- 安らかな精神状態を保ち、物事を恐れない。
- 貪欲にならない。人を羨まない。
これに対して今時の人は、上の方法から外れた生活をし、お酒や異性に溺れたり、一時の快楽を貪る生活をしていると書かれています。その結果半百(おそらく50代)で体が衰えてしまう、ということです。
現代人もほとんどは、この「今時の人」に当たるのではないでしょうか?
情報に溢れたストレスフルな現代社会で、季節や天気により生活習慣を変えている人、規則正しい生活が送れている人、十分な休養が取れている人、安らかな精神状態でいられる人は決して多くないと思います。
大昔に人間が100歳まで生きられたか、定かではありません。ただ人生100年時代と言われるようになり、今後は100歳まで生きることが当たり前の時代に突入するかもしれません。
その中で100歳まで元気に生きるか、半ばで衰えが生じるか、その違いは20代、30代、40代の生活にかかっているようなことを奈良時代以前の書物が冒頭で口酸っぱく忠告しています。
この年代で病院にかかっていない方でも全く体調不良がないという方は多くないはずです。
疲れが溜まっている、胃の調子を崩しやすい、頭痛持ち、生理痛がある(無いのが普通です)、眠りが浅い、肌のトラブルがある、気分が浮き沈みする、二日酔いしやすくなった、など何かしらの体調不良があるのではないでしょうか?
必ずしも漢方薬を使う必要はありません。生活習慣の改善や運動で解決できるものは十分にあります。それでうまくいかなかった時が漢方薬などの出番です。
ただ若いからと過信せず、病院の健康診断で異常がなかったからと過信せず、心と身体の発するシグナルに、常に耳を澄ませておくことをお勧めします。
もちろん50代以上の方も同じです。まだまだできることは沢山あるので、諦めないでくださいね。