不妊症について
不妊症とは「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないもの」と定義されています。
この「一定期間」は現在、1年が一般的とされています。
ただし年齢や疾患により、1年待たずに治療を開始した方が良い場合があります。
妊娠の仕組みについて
西洋医学の観点から
周知の通り現代医学では妊娠の仕組みがおよそ分かっています。男性の精子と女性の卵子が出会い受精が起こり、細胞分裂を繰り返した受精卵が、適切なタイミングで子宮に辿り着くと、フカフカのベッドである子宮内膜に根を張り、徐々に赤ちゃんの形へと成長していきます。この一連の流れが順調に進むと、妊娠に至ります。
このことから、西洋医学的に妊娠に必要な条件は主に次のようなものになります。各段階で男女どちらの要素が特に重要になるかを括弧内に記しています。
- (女性)卵巣で卵子が成熟し、スムーズに排出される。
- (男性)精巣で精子が成熟し、スムーズに排出されて女性の膣内で射精に到る。
- (女性)排出された卵子が卵管に入る。
- (男女)精子が適切に選別されながら、卵管をスムーズに遡る。
- (男女)卵管で状態の良い卵子と精子が出会い、正常な受精が起こる。
- (男女)受精卵が正常な細胞分裂をしながら、卵管の中を子宮に向かってスムーズに進む。
- (男女)受精卵が胚となり、適切な成長段階で子宮内に辿り着く。
- (女性側)子宮内膜が着床に適した状態になっている。
- (男女)胚が子宮内膜に潜り込む。
- (男女)胚が母親から十分な栄養や酸素を受け取れるようになる。
実際にはさらに細かい過程が含まれています。相当多くの過程をクリアすることで、ようやく妊娠が成り立つということがお分かりいただけると思います。
中医学の観点から
西洋医学に比べると、中医学における妊娠の考え方は非常にシンプルです。
男性、女性ともに生命の根本物質である「精」を持っています。
男女の精の一部が、女性の体内で結びつくと新しい第3の精となり、十分な気血に養われることで、赤ちゃんへと成長していきます。
したがって、中医学における妊娠に必要な条件は次のようなものになります。
- (男性)男性が十分な「精」を持っている。
- (女性)女性が十分な「精」を持っている。
- (男女)男女の「精」が結合できる。
- (女性)結合してできた新しい「精」に十分な気血津液を提供できる。
このように中医学における妊娠の条件は、「精」「気・血・津液」に集約されます。
不妊治療について
西洋医学の視点から
西洋医学では、上記1〜10のどの過程に異常があるかを突き止め、それに沿った治療をします。原因別に治療法を分類すると、およそ以下の通りになります。
1. 薬剤による排卵誘発、採卵など
2. PDE-5阻害薬等による性機能障害治療、精索静脈瘤手術、精巣内精子採取術(TESE)、精路再建手術,顕微授精など
3.4.5.6.7. 卵管鏡下卵管形成術(FT)、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)など
8,.9.10 子宮筋腫などの手術療法、凍結胚移植、 抗凝固療法、ホルモン療法など。
中医学の観点から
不妊症の原因は「精」と「気血津液」に集約されるため、漢方でそれらを補充、調整、流通させる方法をとります。
- 精の補充(+漏出の防止)
- 気血津液の補充(+漏出の防止)
- 気血津液・精の生成、変換、貯蔵に働く臓器の機能調整
- 気血津液の滞り解消
- 気血津液の流れる方向調整
男女でバランスの違いなどはありますが、基本的な方法に変わりはありません。
彩世堂の子宝サポート
これまでの治療状況などを詳しくお聞きしたうえで、現在の体質についてお話を伺います。
慢性的な疲労、睡眠不足や不眠、肩こりや冷えなど、中医学的に不妊につながると考られる症状があれば、それを指標にしたケアをお勧めすることがあります。
例えば胃腸が弱い方は、胃腸の調子を整えることで気血が上手く作れるようにしていきます。慢性的な下痢が治ったら間もなく妊娠した、などというケースもあります。
女性であれば、月経周期が安定し、月経前の不調や月経痛がなくなることを第一の目標としていくことが多いです。
気血津液が不足している方、精の質(バランス)が悪い方、気血の流れが悪い方、など状態は一人一人で変わってきますので、体質に合わせた漢方を選ぶことが重要です。
一日でも早く元気な赤ちゃんを出産していただけるよう、全力でサポートいたします。
※こちらの記事は随時更新いたします。