薬局のブログです。

「薬がない!」漢方薬局への影響は?

ここ数年、世間では「薬局に薬が入荷されてこない」という状況が続いています。

医療機関で処方せんを発行してもらったものの、薬局で「薬が入荷されないので調剤できません」と言われる経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。医療業界は、空前の医薬品不足に悩まされています。

表向きな理由は「感染症など急激な需要の増加に、供給体制が追いついていないため」とされています。

私の知る限り、薬局で保険調剤に携わる薬剤師さんたちは、他の薬局に電話をかけて譲ってもらうなどの方法で、薬の確保に奔走しているようです。

薬剤師は物流のスペシャリストではありません。薬の専門知識がウリのはずの薬剤師が、在庫確保のための物流業務に大変な労力を注いでいるという現状を知ると、個人的には何ともいたたまれない気持ちになります。

漢方薬の供給状況

当薬局で扱っている一般用漢方薬については、現時点でほぼ安定供給されています。

ごく一部の医薬品に限り入荷が滞っているものがありますが、概ね他の商品で代替可能です。

保険調剤に用いられる漢方薬の一部が不足している薬局もあるようですが、当薬局の場合、保険適応外の漢方薬はほぼ影響を受けておりませんのでご安心ください。

物価高でも、薬の値段は下がる?

コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、円安などの要因により世界的な物価高が生じていることは多くの人が知るところです。

当然予想できることではありますが、漢方薬の原料、包装、運送費、人件費なども上昇しています。漢方薬の仕入れ価格が上昇しているために、当店でもやむなく漢方薬の価格を改定し、お客様のご協力を仰いできたところです。

一方、政府が公定価格を決める保険調剤用の医薬品はどうでしょうか?

物価高であるにも関わらず、保険調剤用の医薬品は全体として価格が引き下げられています(全品目中6%程度の医薬品は薬価が引き上げられています)。原価は上がっているはずなのに、販売価格は下がっています。

これは年々膨張する社会保障費を抑制するためです。

製造原価が上がる中、販売価格への転嫁が政府によって制限されてしまう製薬メーカーは、非常に厳しい局面を迎えているのではないかと推察しております。苦境に追いやられつつある製薬会社は、はたして高品質な薬を安定供給するための増産体制を築き直せるのでしょうか。

このような状況下での「薬がない」騒動、当店への大きな影響はないとはいえ、健康に関わる立場として大変注目しております。

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