ここ最近、子供の感染症が流行しているとの報道を目にします。当薬局でも、お子様が体調を崩されてしまったとのお客様がちらほらいらっしゃいます。
本日は中医学の視点から、夏かぜについての簡単なお話です。
夏かぜの原因は?
俗にいう夏かぜですが、夏に流行しやすい感染症のウイルスには次のようなものがあります。
- エンテロウイルスの仲間
- アデノウイルスの仲間
- RSウイルス など
そして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も流行しています。
ウイルスの種類に関わらず、その人の体調や体質によって現れる症状は変わりますが、夏かぜ全般の特徴として
- のどの腫れと痛み
- 急な発熱(高熱になることも)
という症状が初期から現れることが挙げられます。抗ウイルス薬が開発されていないものがほとんどで、西洋医学では対症療法が中心となります。
中医学の視点から見ると、温暖な季節には
- 風熱(ふうねつ)
- 温病(うんびょう)
と呼ばれる病気に罹りやすいと言われ、これらが現代の夏かぜを含みます。
夏かぜ治療の基本は、冷ます、乾かす
ここからは中医学の視点でご説明します。日本の夏は暑いです。湿度も高くムシムシしています。
蒸し暑い季節の感染症は
- 「熱」の性質
- 「湿気」の性質
を持ちやすいと考えられています。
「熱」の性質が強いと高熱が出ます。寒気はあってもごく僅かです。
また、のどの腫れと痛み、目の充血、皮膚の発疹(赤み・痒み・痛み)、のどの渇きなども引き起こします。
「湿気」の性質が強いと、体のだるさ、食欲不振、下痢や嘔吐、水疱などが現れます。締め付けられるような頭痛も「湿気」で現れやすい症状です。
「熱」や「湿気」の性質がある場合は
- 熱を冷ます、石膏、金銀花、連翹、黄芩、馬歯莧、蒲公英、板藍根など
- 湿気を乾かす、藿香、五行草、茵陳蒿、半夏、茯苓、薏苡仁など
の生薬が含まれる漢方薬やハーブティーを活用して対応します。
かの有名な葛根湯は、体を温める漢方薬です。熱の性質が強いカゼには基本的にNGです。
また強い熱が続くと、身体に有益な潤い成分「陰液」が消耗します。夏かぜのピーク後の回復を早めるには、潤いを補う漢方薬が有効な場合があります。
かぜの症状は変化しやすいので、状況に応じて迅速かつ臨機応変な対応が望まれます。