人はなぜ病気になるのでしょうか?
西洋医学ではいろいろな病気の原因が分かってきています。
生活習慣、細菌、ウイルスなどの病原体、がん細胞、花粉や食物に対するアレルギー反応、遺伝子の異常、免疫バランスの異常、血管の詰まり、ストレス…と多岐に及びます。
中医学でも病気の原因は様々です。
しかし西洋医学に比べると、これもかなり大雑把に分けられます。
- 体外の気候(六淫)
- 感情
- 生活習慣(食事・運動)
- 津液の停滞(痰湿)
- 血の異常(瘀血)
- 先天的素因
少し詳しく見ていきます。
① 体外の気候
過度な暑さ、寒さ、湿気、乾燥がこれに当たります。さらに風に当たったり、気圧の変化が大きい時には発病しやすくなります。
風邪やインフルエンザなどの感染症はもちろん、花粉症などのアレルギー疾患、春先のめまいなども気候変化の影響を大いに受けている可能性があります
②感情
ストレスが溜まると病気になる、というのは多くの方が実感できる部分だと思います。
怒った時、考えすぎた時、悲しい気分になった時、恐怖を感じた時、特にそれらが長く続いた時などに発病する場合があります。考えすぎて何も食べる気にならなくなったことは誰でも一度はあるのではないのでしょうか?
中医学を実践していると「病は気から。」という言葉は馬鹿にできません。
③ 生活習慣(食事・運動)
暴飲暴食、冷たいものの摂り過ぎ、栄養バランスの悪い食事などが続くと病気につながります。
過労や運動不足、寝不足等も万病の元です。西洋医学に共通します。
④ 津液の停滞(痰飲)
津液(体の中の水分)は人体にとって必要なものです。しかし何らかの影響で異常が起こると、津液は「痰飲(たんいん)」と言ったものに変化します。
川の水は流れていれば綺麗な状態ですが、流れが悪くなると淀み、悪臭を放ってきます。痰飲は、水の流れが悪くなって形成されたヘドロのような物です。痰飲はそれだけで様々な悪い反応を引き起こすだけでなく、他の病気の原因になったりもします。
⑤ 血の異常(瘀血)
血も津液と同様で、何らかの理由で流れが悪くなったり、血管から漏れ出たりしたものが正常な機能を失い「瘀血(おけつ)」という人体に悪影響を及ぼす物質に変化します。痰飲と同様、それだけで症状が出たり、他の病気の原因にもなります。
⑥ 先天的素因
西洋医学と共通で、両親から受け継ぐ遺伝的な素因はもちろん、妊娠中の栄養不良やストレスなどによる母体の不調も受けると言われています。
主に以上の6つの原因から、多くの病気の原因が推測できるのが中医学の特徴です。また、ほぼ全ての原因に対して治療法が確立されています。自身の生活を振り返り、原因が分かれば対策を打てる可能性があります。