「ニキビを改善したい」というご相談は比較的よく受けます。思春期だけでなく、20代〜30代の方でもニキビに悩まされている方は少なくありません。
「チョコレートを食べたらニキビが増えた!」なんて話はよく耳にしますが、ニキビのできやすさは食べ物と関係するのでしょうか?
食べ物とニキビの関係は未解明
意外に思われるかもしれませんが、「特定の食べ物がニキビを悪化させる」という十分な根拠はありません。
日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023でも、ニキビのある人に特定の食べ物を一律して制限することは、推奨しないとされています。
チョコレートがニキビを悪化させるかどうかでさえ、賛否が分かれているようです。
中国の伝統医学では?
中医学では食物とニキビの関係はどのように考えられているでしょうか?
黄帝内経素問の生気通天論篇には「高梁之変、足生大丁」という記載があるのですが
過度に美食する人は大きな疔を発生しがち
黄帝内経素問 東洋学術出版社
と翻訳されており、脂っこいものなどの「美食」が大きなニキビ(疔)につながることが示唆されています。
ニキビは胃腸の「熱」が関係する
中医学が発展する中で、ニキビは体内、特に「胃」や「肺」に溜まって硬く結んだ「熱」が体表に現れたものと考えられてきました。
一般論ではありますが、甘いもの、脂っこいものなどは消化吸収が追いつかないと「熱」を生むと考えられています。
自身と向き合うことで答えが見えてくる
以上のように、食事の内容がニキビを増やすかどうかは西洋医学的にも、中医学的にもはっきりと分かっていません。
食事が無関係とも言い切れないので、一人一人に合った試行錯誤と工夫が必要です。
甘いものや脂っこいものが皮脂の分泌を増やす可能性はあるものの、ニキビに影響するのは皮脂の分泌量だけではありません。
- 毛穴の詰まり
- 免疫の状態
- 性ホルモンの状態
- 精神的・肉体的ストレス
なども複雑に絡み合ってくるでしょう。
食事の影響が大きい人もいれば、それほど関係のない人もいるはずです。同じ人でもその時の体調によって重要な要素は変わってくるはずです。
一般的な「正解」がわからない時はどうすれば良いか?
「仮説を立てて検証する」
これに尽きると思います。
生活習慣を少しずつ見直して、お肌の状態や体調が変わるかを検証してみる。生活習慣の変化が、気持ちの面でも負担になっていないかを含めて検証していく。
地道な作業ですが、漢方薬の選択と同じくらい大切なことです。
楽しみながら安全に試せることを一緒に探し、検証すること。それも漢方相談の存在意義だと考えています。