梅雨の間はムシムシした気候が続きます。曇っていても蒸し暑く、不快感を感じていらっしゃる方は多いのではないのでしょうか。本日は「湿気」が体調に与える影響についてのお話です。
科学的なメカニズムは謎に包まれている
湿度が高い日は様々な不調が出ませんか?
- だるくなる
- やる気が出ない
- 食欲がなくなる
- 胃腸の症状が出る
- 関節が痛くなる etc…
割と多くの方が、当たり前に感じているこれらの現象。
湿度が高くなるとこれらの症状が起きる理由、実は科学的に明らかにはされていないのです。
湿度が高いと何が起きる?
おそらく私たちは、皮膚の触覚や温度感覚を使うことにより湿度を感じ取っています。
さらに皮膚の表面からは汗や水蒸気が空気中に拡散され、このことにより体温調節が図られます。
知覚神経が刻一刻と移り変わる周辺環境を感じ取り、自律神経が臨機応変に対応しています。
湿度の高いムシムシした日、特に風のない日には水分の蒸発が妨げられるために体温調節の難易度が上がります。
そのため湿度が高い環境では、脳や自律神経の働きに影響が出るのではないかと考えられています。
※世間には「湿度が高いと消化酵素の働きが鈍る」という情報もありますが、酵素の性質からこのようなことは考えにくく、腑に落ちておりません。湿度が腸内細菌のバランスに影響を与えるという報告もありますが、まだ完全な証明には至っていないようです。
中医学における「高湿度」
高湿度が体調不良を引き起こすことは、伝統中国医学でも古くから認識されていました。
高湿度の環境に適応できないと「湿邪」の影響を受けることにより特有の症状が表れます。具体的には
- だるさ
- 四肢の重さ
- 布を巻いたような頭痛
- 関節の動きにくさ
- 食欲不振、嘔吐、下痢、軟便、などです。
「重だるい」「動かしにくい」といった、気の流れを妨げられる症状が中心です。軟便や下痢などの消化器症状も、湿邪によって「消化吸収の働き」が妨げられた結果起きる症状です。
科学的には未解明な部分が多いですが、実感的には納得のいく症状ではないかと思われます。
湿邪の影響を受けやすい人
次のような人は特に「湿邪」の影響を受けやすいと考えられます。
- 疲れている
- 冷え性
- 脂っこいもの、甘いものをよく食べる
- 水分を多く摂りすぎている
- お酒をよく飲む
- 運動不足 etc…
湿邪は、除去に時間がかかる邪気だと言われます。濡れた洗濯物が乾くのに時間がかかるのと一緒です。
湿邪を除去する漢方薬は多岐に渡りますが、改善にはそれなりの時間がかかります。「湿邪」を招かないよう、日頃の養生が肝要です。
せめて梅雨の間だけでも生活習慣を見直してみると、これまでより快適に過ごせるかもしれません。