花粉症に関する持論 その2

免疫・アレルギー

花粉症の症状が鼻水やくしゃみだけであれば、抗ヒスタミン薬などで比較的簡単に抑えることができる。それほど辛い思いをすることもないであろう。実際に花粉の季節が憂鬱に感じるのは、鼻詰まりやそれに伴う寝苦しさ、だるさ、肌の炎症などが出てきてしまった時なのかもしれない。

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遅発型反応をどう捉えるか

花粉症はⅠ型アレルギーである。花粉症の人は、マスト細胞(肥満細胞)に結合したIgEの量が多く、そこに花粉が結合するとマスト細胞から多量のケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトエリンなど)が放出されて即時型のアレルギー反応を起こす。

Ⅰ型アレルギーの興味深いところが、上記の反応の数時間後に好酸球が絡む遅発型アレルギー反応が惹起されることである。

中医学的に即時型のアレルギー反応が「表証」であるならば、遅発型反応は邪正相争による病理産物が絡んだ病態なのではないかと考えている。

例えば肺衛が滞ることによって生まれた「痰飲」、気滞や痰湿が変化した「熱」、時には「瘀血」などである。

痰飲が蓄積すれば倦怠感が出る。

粘りっこい痰や瘀血が結すればひどい鼻詰まり、副鼻腔炎が起きる。

化熱すれば皮膚炎が起きる

といった具合に考えることがである。

遅発型反応に進行してしまうと、かの有名な小青竜湯を使っても理論的には大した効果は得られない。化熱した状態はむしろ悪化させてしまう。慢性化したアレルギー症状では、水湿を捌く、気血を和す、熱を清するといったあの手この手を考えなければならない。

遅発型反応には様々なサイトカインが絡んでいるはずだが、部分を見ると全体像を見誤ることになる。免疫系統に使用する西洋薬は全体のバランスを取ることまで考慮されていないため、それなりのリスクを覚悟する必要がある。

免疫学は奥深い。次から次に新しいことが分かってくる。私程度の力では臨床に応用することはできないので細かい部分を深追いすることはやめてしまった。

「サイトカインなんて細かいことは考えずとも、要は水湿や熱を捌ければいいんだろ」と考えて、ある意味大雑把でも実用できる漢方薬の方が、私自身の性に合っているとつくづく思う。