【中医学】更年期に起こること

更年期障害

更年期障害に効果を謳っている漢方薬は多数ありますが、「漢方薬を使ったけれど効果が感じられなかった」というお話をよく耳にします。効果が感じられない時は、体質にあった漢方薬を選択できていない可能性があります。十分に体質を理解したうえで漢方薬を選ぶことが大切です。

女性は7の倍数で歳をとる。

中国最古の医学書『黄帝内経素問』の一説です。

岐伯曰、女子七歳腎気盛、歯更髪長。(中略)

五七陽明脈衰、面始焦、髪始堕。六七三陽脈衰於上、面皆焦、髪始白。七七任脈虚、太衝脈衰少、天癸、地道不通。故形壊而無子也。

現代語訳 黄帝内経素問(東洋学術出版社)より引用

この一文では女性の体が、7歳ごとに変化していくことが述べられています。

5×7 =35歳:胃腸の力が衰え始め、頬がたるんで顔がやつれ始める。髪が抜け始める。

6×7 =42歳:衰えが顕著になり、顔が皆やつれて、白髪が出始める。

7×7 =49歳:妊娠出産する力が失われ、閉経する。

このように加齢に伴う衰えについて述べられています。直視するのがためらわれるかもしれませんね。

更年期に起こること、その対策

それでは更年期にどういった体調変化が起きているのでしょうか?特に次の3つに注目しています。

基礎体力が落ちる

中医学では”せい“や”けつ“と呼ばれる生命物質が加齢とともに減少すると考えられています。これにより基礎体力や全身の張りと潤いが失われていきます。

症状の例

精”の不足:元気が出ない、のぼせ、冷え、寝汗、腰痛、尿のトラブル、耳鳴りや難聴など

“血”の不足:睡眠障害、精神症状(不安感、憂鬱感など)、乾燥肌や痒み、爪の質低下、目の乾燥、筋肉の痙攣、便秘など

漢方薬・生活上の注意点

“精”や”血”を補う漢方薬を症状に合わせて使用します(八味地黄丸、杞菊地黄丸、当帰製剤、鹿茸製剤など)。早く寝て十分な睡眠を取ること、動物性の食品を適度に食べること、足腰を鍛えるよう心がけることなどもおすすめです。

胃腸の力が低下する

中医学で”脾”と呼ばれる内臓の機能が低下します。飲食物を消化吸収する力が落ちることで様々な症状が出ます。

症状の例

胃もたれ、消化が悪い、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、軟便など

漢方薬・生活上の注意点

胃腸の機能を高める漢方薬を使用します(香砂六君子湯、補中益気湯、参苓白朮散、温胆湯など)。食事のリズムを整える、消化の良いものを食べる、体を動かし、筋力をキープする、などの工夫がおすすめです。

身体の”巡り”が悪くなる

中医学で”少陽”と呼ばれる部位の機能が低下し、熱や血流の巡りが悪くなります。

症状の例

ホットフラッシュ(熱くなったり寒くなったりを繰り返す)、肩こり、頭痛、イライラ感、憂鬱感、動悸、など

漢方薬・生活上の注意点

“気血”の巡りを改善する漢方薬を中心に使用します(四逆散、逍遙散、柴胡製剤、丹参製剤など)。リラックスを心がけ、趣味や運動など気分が紛れることをする、食事にハーブを取り入れる、と言ったことを心がける。

しなやかに更年期を乗り切ろう

以上、更年期に訪れる身体の変化を解説してきましたが、実際には本記事に記載していないような体質の方もいらっしゃいます。

更年期は身体が大きく変化する期間。バランスが少しでも崩れると症状が現れます。

飛行機に例えるなら離陸直後の状態。ちょっとした気流の乱れでも危ないものですが、高く飛んでしまえば安定します。

更年期は誰にでも訪れるもの。次のライフステージへの準備期間です。人生の成熟期を軌道に乗せるため、自身の健康状態に向き合ってみませんか。