ここではあくまで中医学的な月経の考え方についてご説明します。ホルモンバランスの変動などを踏まえた西洋医学的な月経の考え方は、他のサイトでもたくさん紹介されていますので、そちらをご参照ください。
あくまで漢方相談に携わる一個人としての理解の範囲で解説します。
本気で考えると超難解
中医学における月経を知るためには、2000年以上前の資料まで遡らなくてはいけません。
『黄帝内経素問』には「女子二七にして天癸いたり、任脈通じ、太衝の脈盛んに、月次は以て時に下り…」といった記載があります。衝脈と任脈とは…
と書いたところで漢字アレルギーが出て、ブログを読むのを止めてしまう方が90%以上いらっしゃると思います。
ここは離脱をぐっとこらえて、もう少しだけお付き合いください。
ここではあえて、月経の中医学的考え方を”超”簡単にお教えします。シンプルすぎて専門家の方からはお叱りを受けてしまうかも…。
超簡単!月経図解
ここで本題。月経を簡単に図解します。
この図を使うと患者さんに対する説明が簡単です。漢方薬を選ぶうえでも、実用的だと考えています。
衝脈(血海)=子宮です。子宮を鹿威しになぞらえています。
“肝“という臓器に蓄えられた”血”が子宮に注がれていき、満杯になると(妊娠しなければ)”血“が溢れて月経がくる、という仕組みです。
いかがでしょう?とてもシンプルではないですか?「科学的でない」、「荒唐無稽」と言われてしまえばそれまでですが、この考え方に沿って漢方薬を使うことで効果を得られるのが不思議なところです。
月経のトラブルの考え方
各種の月経トラブルの原因も、この図を使えば簡単に考えられます。
月経周期が短い
原因:蛇口が開きすぎている、水圧が高い、鹿威しが小さくすぐに満杯になってしまう、など
鹿威しが早めに動いてしまう状態です。
月経周期が長い
血が不足している、「水圧」が低い、蛇口が詰まっている、など
鹿威しが動き、血が溢れるまでに時間がかかる状態です。
月経周期が不安定
蛇口の調節が不安定、「水圧」が不安定、など
鹿威しが動くタイミングが毎回変わり、予想できない状態です。
不正性器出血
鹿威しに穴が開いている、鹿威しに蓋がされている、軸が壊れている、など
鹿威しは動いていないのに、水がこぼれてしまっている状態です。
月経トラブルの治療法
水道トラブルの修理と一緒?
漢方薬による治療でも、まずはトラブルの原因を探り、可能性が高いところから潰していく方法をとります。表現が不適切かもしれませんが、水道管トラブルの修理に近いものがあるかもしれません。
血が足りなかったら血を補う漢方、水圧が高かったら低くする漢方、漏れがあるなら漏れを止める、詰まりがあるなら詰まりを解消する漢方を使います。
原因がもっと複雑なことも
ただし、鹿威しと水道だけを見ても原因がわからないことが多々あります。水圧が不安定だったり、不足している場合には水道会社に問題があるかもしれません。
水道会社のシステムトラブルかもしれませんし、もしくはその上流、水源のダムが水不足、などといった問題が潜んでいる可能性も考えられます。
ここの見極めが、漢方薬の効果が出るかどうかの鍵となります。鍼灸など他の方法が有効な場合もあります。
治療のためにはきちんとした知識を持った専門家に相談していくことが、最も確実ですね。