皮膚トラブルを中医学で考える

皮膚のトラブル
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皮膚は内臓の鏡

「皮膚トラブルは塗り薬で治す」というイメージを思い浮かべる方は多いと思います。漢方薬にも塗り薬は存在しますが、飲み薬で治す方法が一般的です。

中医学では、皮膚トラブルのほとんどを、内臓の機能と結び付けて考えます。アトピー性皮膚炎を改善させるために胃腸の機能を高める薬を使ったり、ニキビを治すために便秘薬を使ったりするのはこのためです。

皮膚は、「全ての内臓の状態を映し出す」と言っても過言ではありません。原因となっている内臓の不調を取り除くことで、皮膚トラブルの改善が得られるケースは少なくありません。

皮膚症状の原因となるもの

先述したように、皮膚の状態の根本を担うのは内臓の機能です。しかし実際には、内臓機能の乱れだけで症状が起きるわけではなく、環境中の有害物質や精神状態など、様々な要素が複雑に絡み合って皮膚トラブルを起こします。それぞれの原因について簡単に解説します。

内臓機能の乱れ

中医学では内臓を”五臓六腑”というものに分類します。難しい事はさておき、内臓機能と皮膚の関係は、ざっと挙げただけでも次のようなものがあります。

  • “肺”の機能(呼吸)→ 皮膚のバリア機能の中心を担う。
  • “脾”の機能(消化吸収) → 皮膚への栄養補給を担う。
  • “心”の機能(血液を送り出す)→ 皮膚に血液を送る。
  • “肝”の機能(精神情緒の安定)→ 痛みや痒みの感じやすさを調整する。
  • “腎”の機能(骨髄の機能)→ 免疫機能に関与する。

内臓の機能は他にもたくさんあります。複数の内臓の関係性を考え、治療していけるのも中医学の特長です。

上記に挙げた内臓と皮膚の関係は、あくまで一例です。

皮膚への刺激

西洋医学では、花粉やハウスダストを始めとしたアレルゲン、日光、寒冷刺激などで皮膚症状が発生する場合があると考えられています。いずれも外部からの刺激です。

中医学では外部からの刺激の多くを、次の”六淫”として考えます。

  • 寒邪 →  寒冷じんましん、傷口の治りが悪い、など
  • 熱邪・暑邪 → 痒み、赤み、痛みなど
  • 燥邪 →  乾燥肌、皮膚がポロポロと剥がれる、など
  • 湿邪 → 水ぶくれ、ジュクジュク感、うみが溜まる、など
  • 風邪 → 症状があちこちに移動する、など。他の”邪”の運び役。

これらの”邪”は外部から侵入するだけでなく、体内から発生することもあります。

精神状態

精神的なストレスが、免疫や精神神経系の状態に影響を及ぼし、皮膚トラブルを悪化させうる事は西洋医学的にもわかってきています。

中医学では7つに分類される次の感情(七情)が、行き過ぎると精神状態に悪影響を与えると考えられています。”七情”が過剰になると、次の内臓がダメージを受けることがあります。

  • 怒 → ”肝”
  • 喜 → ”心”
  • 思 → ”脾”
  • 悲・憂 → ”肺”
  • 恐・驚 → ”腎”と”心” 

感情の乱れ→ 内臓の乱れ→ バランスの崩れた体に皮膚刺激が加わる →皮膚トラブル発生といった経過をたどる例は珍しくありません。

卵が先か?鶏が先か?

皮膚トラブル自体がストレスになり、精神状態に悪影響が出るケースも多く見受けられます。精神状態と皮膚症状を合わせてケアしていく必要があります。

皮膚トラブルは氷山の一角

皮膚トラブルに悩まれている方は、他にも何かしらのトラブルを抱えている事が多いもの。胃もたれ、軟便・下痢、ストレス、不眠、頭痛、冷え性、生理不順、生理痛など、心当たりのある方は少なくないのではないでしょうか?

皮膚とは一見関係なさそうな症状でも、後から振り返ってみたら繋がっていたという場合もあります。

皮膚トラブルを氷山の一角と捉え、体の内側の乱れをケアしていくことができるのは、中医学の強みです。