生理痛は、漢方相談で巡り会うことの多い症状です。中医学の世界では「生理痛はないのが当たり前」。このことをお話しすると驚かれることが多いです。
生理の状況は、漢方薬を提案するうえでかなり重要な情報となります。本記事では、「痛みの強まる時期」について触れてみたいと思います。
「痛む時期」は貴重な情報
痛みの出る時期は、生理痛の原因を探っていくうえで有益な情報になります。別の症状をまとめて改善する手がかりにもなり得ます。
前半に痛む場合
月経開始後、1〜2日目に痛みが強い場合です。相談していて多くの方がこのタイプです。
この場合、経血に「レバー状の血の塊」が混じる方も比較的多くいらっしゃいます。血の塊が出ると月経痛が和らぐ事もしばしばあります。比較的痛みが強く、鎮痛剤を飲まれている方も散見されます。
前半に痛む場合、何らかの原因で血の巡りが悪くなっていないかを考えます。体を冷えるような服装、食生活等をしていないか、日頃のストレスは強くないか、などを丁寧に伺うと、適切な漢方薬が見えてきます。
中医学的には“実証”タイプの可能性が高いです。血流を改善する漢方薬を中心に使います。
後半に痛む場合
月経開始後3日目以降、出血量のピークを過ぎた頃に痛む場合です。たまに遭遇します。
痛みは強くなく、シクシク痛む、何となく痛むケースが散見されます。比較的虚弱体質の方が多く、月経中に疲労感や眠気、軟便下痢などが出る事もあります。
中医学的には“虚証”タイプの可能性が高いです。”気血”などを補う漢方薬を中心に使います。
痛む時期でおおよその傾向は掴めますが、それだけで体質を判断をする事はできません。他の症状なども考慮した上で、おすすめの漢方薬は変わります。
自分でできる月経チェック
漢方相談では、月経について以下の事項を確認しています。
- 月経周期(月経と月経の間隔)
- 月経日数(出血が何日間続くか)
- 経血の量
- 経血にレバー状の塊が混じるか
- 月経痛について(痛みの時期、質など)
- 月経前・月経中に起こった症状 など
月経の状態は多くの場合、本人にしかわかりません。今一度見つめ直していただくことで、漢方薬の効果を最大限に実感することができると思います。