薬局には長期間続く「むくみ」でご相談される方もいらっしゃいます。病院で特に異常が見当たらない場合には、漢方薬で体質改善を図ることも選択肢の一つです。
むくみは「異常な」水分
中医学では体に必要な水分を”津液“と読んでいます。”津液“が十分にあれば、身体のあらゆるところがしっかりと潤っています。粘膜の乾燥がないことは、感染予防にも結びつきます。
ただし、”津液”が変化して身体に有害な物質に変わることがあります。それが”痰飲“です。
体内に溜まった異常な「水」、すなわち”痰飲”が原因となり、むくみが出ることがあります。
むくみを改善するためには、”痰飲“が作られる原因を探り、それに合わせた治療をすることが大切です。
異常な水(痰飲)ができる理由
“痰飲”が生まれる原因は様々です。
① きれいな水が作れない
私たちは食べ物や飲み物から、水分補給をしています。飲食物はお腹の中で、消化吸収され、殺菌され、ものによっては化学反応を経てから初めて身体に利用されます。
飲食物の量が一人一人の消化吸収の機能を超えてしまった時に、処理しきれなかった水分が”痰飲“として溜まっていきます。
- 食欲がない
- 疲れている
- 軟便や下痢が多い
- お腹が冷えている
などと言った症状が普段からある方は要注意。消化吸収の力不足が原因で、むくみが起きている可能性があります。
② 水の流れが悪い
流れている時は腐ることのない水も、停滞すると腐ることがあります。中医学では、体内でも同じことが起こって”痰飲”が生まれると考えられています。
水の流れが滞る理由には主に次の2つが考えられます。
水を巡らせるポンプ機能の異常
中医学では、水を全身に巡らせるポンプの役割を、主に“脾“と”肺”と”腎”、3つの内臓が担当していると考えられています。
「水を巡らせる」ことは体外への排泄も含みます。
感染症や、食生活の不摂生、疲労などで「ポンプ機能」に異常が起きた時、水が停滞してむくみが起きる場合があります。
①に記載した症状を伴うこともあれば
- 寒気、発熱
- 手足が冷える
- 腰が重だるい
- せき、喘息
などの症状が出ている場合があります。
水の通り道の詰まり
水の通り道が塞がれてしまっている時も、水の停滞が起こり、むくみの原因となります。
感染症や、気候の変化(湿度の高い日が続く、低気圧が近づくなど)で体内の”気”の巡りが悪くなったときや、老廃物などで”津液”の通り道が塞がれてしまう場合があります。
- 腕や脚が重だるい
- 関節の痛みを感じる
- 尿が少ない
などの症状を伴う場合があります。
“原因に合った対処法を
むくみは様々な原因が絡み合って起こることも多く、原因を一つに絞ることが難しい場合があります。
利尿作用がある生薬などを使い、対症療法をするだけでなく、内臓機能の乱れを修正していくことで、再発防止を目指していきます。