「天気が崩れる前に頭痛がする」という経験はありませんか?
現代医学でも「気象病」という考え方が浸透しつつあります。人間の「気圧センサー」である内耳が気圧の低下を察知し、自律神経のバランスが変化することで頭痛が起こることがあると考えられています。
しかしながら科学的に解明されていないことも多く、まだまだこの分野は中医学が有利な分野だと考えています。中医学では、自然界と人体の関係について深く考えられています。
昔の人も悩んでいた
中国最古の医学書『黄帝内経素問』の一説です。
首風の症状は(中略)実際に風気がくる前の日に、特に頭痛がひどくて外にも出られませんが、風気が来る日には痛みは割合に軽いのです。
現代語訳 黄帝内経素問(中巻) 東洋学術出版社 より引用、一部改変
“首風”とは気候の変化で起こる病気の一種です。日本でいう奈良時代以前に作られた書物ですが、現代人にもよくある症状ですね。
頭が痛いから雨が降りそうなのがわかる(lil-Д-) 降っちゃえば良くなるのにっ!!!
とツイートしている人がいるかもしれません。
低気圧の正体は”風”?
気圧が変化する所では、風が吹きます。
中医学では自然界の”風”に当たると体調を崩すと考えられています。身体に悪影響を及ぼす風のことを”風邪“と呼びます。実際には気圧変化だけでなく、ウイルスや細菌、アレルゲンなども”風邪”に含むと考えられています。
“風邪”と頭痛の関係
“風邪“は様々な特徴を持ちます。
“風邪”は上部を犯す
風には「軽い」という特徴があります。このため、身体の上部に影響が出やすいと言われています。実際には全身どこでも症状が現れるのですが、特に上の方にある頭に症状が出やすいと言われています。
“風邪”による病気は変化が多い
風は一定ではなく、常に方向や強さが変わります。”風邪”もそのような特徴があります。
“風邪”による症状は、突然に発症する傾向にあります。そして、症状のある場所が変わったり、症状が急に強くなったり、弱くなったりすることがあります。
「天気が悪い時だけ発症し、またすぐに良くなる」という頭痛には、”風邪”が関与している可能性があります。
“風邪”は百病の長
「カゼは万病の元」と言われますが、中医学では「”風邪“は百病の長」と言います。
“風邪”は単独ではそれほど強い力を持ちません。ただし、他の厄介な”邪気”を連れてきたり、操ることで症状を起こします。まさに「病の司令塔」です。
風邪が頭に連れてきた”邪気”の性質により、頭痛の性質が変わってきます。
寒邪を連れてきた場合は、寒気や冷えを伴い、引きつるような頭痛が起きることがあります。
湿邪を連れてきた場合は、重だるい痛みや、締め付けられるような頭痛、何かに包まれているような頭痛が起きることがあります。
暑邪や熱邪を連れてきた場合は、頭が張ったり、割れるような頭痛が起こる場合があります。
風邪を取り除くとともに、風邪が連れてきた他の”邪気”も取り除くことができて初めて、頭痛は改善します。
“頭痛を起こさないためには?
ここまで、①天候の変化が”風”を引き起こし、②”風邪”が身体に影響を与えて、頭痛が起こることをお話してきました。
それでは、低気圧が近づいても頭痛が起こりにくい身体を作るためにはどうしたら良いでしょうか?
“風邪“に負けない身体づくりが基本です。
環境の変化に身体がついていけないということは、身体の防御力が足りないということ。防御力が足りない理由は、普段からの疲れやストレスかもしれませんし、内臓機能の乱れかもしれません。
日頃の生活習慣や漢方薬で身体のバランスを整え、防御力を高めていくことは、頭痛対策としても有効になり得ると思います。