貧血はないはずなのに…
「よく立ちくらみやめまいが起きる、顔色があまり良くない、貧血かもしれない…。」
と思って健康診断の結果を見ると、
「あれ?貧血じゃなかった。」
というケース。薬局に来店される方にも多いです。
貧血が否定され、ひと安心。けれどこの立ちくらみは一体何?今回はそんなあなたに隠れているかもしれない”血虚“のお話です。
※他の病気が隠れている場合もあるのでご注意ください。
中医学の”血”とは
中医学における”血“は、「血管内を流れる赤色の液体」です。
この一文には大事なことがたくさん書かれています。と言っても分かりにくいので、西洋医学の血液と、中医学の”血“、その違いを図式化してみました(個人的な解釈です)。
中医学の”血“の方が、判定基準が厳しいように感じます。血液検査で、血液中の赤血球の量は測れますが、血管内の血液の総量や、酸素を運んでいる「赤い血液」の量まで測ることはできません。
“血”の役割
中医学の”血“はどういった役割を担っているのでしょうか?”血”の役割は次の通りです。
- 全身に栄養(”気“)を届ける。
- 全身に潤い(”陰液“)を届ける。
- 精神を安定させる。
1と2の役割は、西洋医学的な考え方と共通する部分です。
3の精神安定作用は、中医学に特徴的な考え方です。”血“が十分に存在して初めて、精神が安定し、良い睡眠を取ることができます。
“血”が不足した時に起こる症状
“血虚“とは、「”血“の濡養が不足した状態」です。
“血“の量が減った状態ではなく、”血“の機能が不足した状態です。貧血と共通な症状の他、全身に様々な症状が出ます。
具体的な症状は下の図をご覧ください。
血が不足する原因には以下のようなものがあります。
- 出血が多い(月経含む)
- 栄養不足
- 食べ物の消化吸収力が弱い
- 長期間のストレス
- 慢性病
- 血流の滞り(”瘀血“) など
貧血のない方でも、心当たりのある症状があるのではないでしょうか。
血(ち)は充分、血(けつ)は不足?
以上、”血”と”血虚”についてご説明してきました。西洋医学と中医学で「血」の捉え方に違いがあることがわかれば十分です。
貧血ではないのに貧血のような症状がある時、それは何か他の病気のサインかもしれません。
しかし原因となる病気がなかった時、中医学の”血虚”という考え方を思い出してみてください。
“血虚“の改善には、まずは原因とななりうる生活習慣を見直してみましょう。症状の改善をサポートする「”血“を補う」漢方処方もたくさんあるので、うまく取り入れていくと良いでしょう。