漢方薬局で働いていると、よく聞かれる質問です。今回はこの疑問にお答えします。
病院と漢方薬局の違い
その1 健康保険が効くか効かないか
リーズナブルなのは病院の漢方薬
最もわかりやすい違いです。医療機関で医師から処方される漢方薬には健康保険が適応されます(自由診療扱いのものを除く)。薬代の他に診療費、調剤費等がかかりますが、自己負担は全額の1〜3割以下です。もちろん例外もありますが、費用そのものをみた場合、「病院の漢方薬」に軍配が上がります。
漢方薬とその使い方に精通した医師に出会えるかどうかがポイントです。
その2 漢方処方の種類
扱える種類が多いのは「漢方薬局」
病院の薬=効果が高い、わけではない
あまり知られていませんが、病院で扱える漢方薬は、全て漢方薬局でも取り扱うことができます。「一般用医薬品だから効果が弱い」と思われることもありますが、そんなこともありません。
配合される生薬量が、病院と同等の漢方薬はたくさんあります。保険適応外の漢方薬であれば、薬局で自由に価格を決められるため、高品質の生薬が使われている場合もあります。
病院、薬局に関係なく、上手に使えば同等以上の効果が期待できるのです。
薬局には、病院処方では扱えない一般用医薬品も数多くあります。一般用独自の漢方処方も数多くあり、病院処方では不可能だった解決策を実現できる場合があります。
例えば丹参製剤、鹿茸製剤、香砂六君子湯、藿香正気散、生脈散などは保険漢方には存在しません。病院処方と似た名前で、配合の異なる漢方薬も存在します。
その3 相談にかけられる時間
一概には言えないが、漢方薬局>病院となる傾向
診療報酬の制度上、病院で診察にかけられる時間は短時間です。漢方薬局はカウンセリングを売りにしているところも多く、1人あたりの相談時間は多くなる印象です。
あくまで全体的な傾向で、病院でも時間をかけてじっくり相談できる場合があるかもしれません。
「長い時間がかかる=良い」というわけではありません。経験豊富な医師や薬剤師であれば、短時間でも適切な対応が期待できます。
その4 検査・診断
病院のみ
薬局では基本的に、検査や診断は行えません。
重大な病気の可能性が否定できない場合や、診断を希望する場合には医療機関を受診しましょう。
結局、どちらを選べばいいの?
病院、薬局にそれぞれメリットデメリットがあります。地域によっても差があります。
結局のところ、病院と薬局それぞれの得意分野を見極めること、相談する医師や薬剤師が信頼できるか、自分自身と相性が良いかどうかが判断のポイントです。
相談者、サービス、費用、治療方針、飲み始めてからの効果実感などを踏まえて、最も納得のいくところを選びましょう。